孤独の哲学

アドラー心理学の第一人者である著者が、アドラーや三木清などを読み解き、共同体の一員でありつつも依存せず、時には孤立をも恐れず孤独に生きることの大切さや難しさを解説する中で、自身の家族との関係を振り返りながら、生老病死の苦しみに立ち向かうヒントを提示している。

第一章では、定年退職した夫がお父さんが、家族とぶつかる例について、本人が家庭の中に居場所を見出だせないといったことが、実は居場所がないことを確認するために衝突しているという逆説的な事象を紹介します。

第二章では、当時小学生だった子供に甘やかしとは何かと問いかけたところ、頼まれもしないことをすることだと即答されます。

同じく第二章では、夫婦の不仲の原因のひとつとして、コミュニケーションの不足を上げ、それによって理解が深まらず孤独を感じるのは、自分の考えを言葉で説明する努力を怠っているからと断じます。

第四章では、四六時中子供のことを気に掛けている親たちが、子供のこと忘れて仕事や趣味に打ち込んだことで、子供自身が自らの人生を考え、自立しました。

第七章では、介護に行くといつも寝ている父親に、介護しに来る甲斐がないとこぼしたところ、お前がいるから安心して眠れると諭されます。

同じく第七章では、自信の源は、自分で物を作ることであるとし、物を作るとは、文字どおりの意味の他に環境を形成する、対人関係に働きかけることも含むと解説します。

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