戦後の東西冷戦期、最悪な日中関係が続くなかで、政治的に中立な日本赤十字社が中国紅十字会と連携し、在中邦人の帰国を果たすにおいて、中国側の最重要人物である李德全の動静を追いながら戦後の日中交流の原点を探る。
第1章では、国交もなく、休戦中でしかない状態の中国からの、日本人の引き揚げの困難に際して、赤十字を頼ることになります。
第2章では、日本赤十字社と中国紅十字会との交渉の過程で、中国共産党の思惑に翻弄されながらも、引き上げ事業が始まります。
第3章では、国内の反共勢力や台湾華人による妨害等を警戒しながら、 いよいよ李德全が訪日し、BC級戦犯の名簿を明らかにし、さらには釈放を伝えて、留守家族を安心させます。
第4章では、来日中の李德全の行動を追いながら、各地で迎える人びとの熱狂と共に、引き揚げ帰還という人道目的の交流が、徐々に経済的、政治的なものへと変質していく様子が見えます。
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