日米安保体制史 (岩波新書) [ 吉次公介 ] 価格:946円(税込、送料無料) (2022/3/12時点)楽天で購入 |
日米安保の始まりから、現在に至るまでの軌跡を時系列に追いながら、構造的特質として、非対称性、不平等性、不透明性、危険性の四つの要素がもたらす、日本の国内世論の抵抗感や日米間の交渉、調整の難しさを説きながら、核密約や地位協定、集団的自衛権の解釈といった、今日未だ収束を見ない困難な課題に対しての、時の政権の決断の背景を多くの文献を元に解説している。
第1章では、吉田茂による講和条約と旧日米安保条約の締結までと、続く鳩山一郎と岸信介政権による、新安保条約への改定と地位協定の締結の過程を追います。
第2章では、経済を向上させた池田隼人政権が、イコールパートナーシップを標榜し、また、佐藤栄作は沖縄返還に動きますが、全国各地では駐留米軍由来の問題が多発します。
第3章では、田中角栄が日中国交正常化を進め、三木武夫、福田赳夫政権では日米同盟へと深化し、大平正芳、鈴木善幸で関係悪化しつつも、中曽根康弘が同盟関係を強化し、竹下登政権の代に冷戦が終結しますが、この間に沖縄への基地集中が進みます。
第4章では、海部俊樹政権から始まり、宮沢喜一政権下でPKO法が成立する頃には日米同盟が定着しますが、55年体制が終了して、細川護煕、羽田收、村山富市を経て橋本龍太郎政権で、地位協定改定のチャンスを逃したらしいです。
第5章では、テロとの戦いのため小泉純一郎政権下で安保体制はグローバル化し、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の後、鳩山由紀夫の民主党政権に米国側が不信感を持ち、菅直人、野田佳彦政権で関係改善するも沖縄に犠牲の上に立つものと指摘され、第二次安倍晋三政権で安保関連法が成立し、地理的条件無しに米軍の後方支援が可能になりますが、沖縄の問題は混迷するばかりです。
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